結論だけ先に知りたい方へ。
結論
リピート率は、技術や人気より先に「帰り際の10秒」で決まります。
僕は次回予約率2〜3%からでした。そこを変えて、リピート率95%以上、次回予約率はほぼ100%になりました。
平均の数字、出し方、失客率との違い、僕がやめたこと・始めたことを、この記事で順番に書きます。
表参道の美容室NEHANで美容師をしている、天ヶ瀬哲平です。美容師歴は9年目。年間1,000人以上を担当していて、お客様のうち98%がリピートの方、新規は2%です。
でも最初からこうだったわけではありません。スタイリストデビューしたばかりの頃は、売上もリピートも全然安定していなくて、毎月の収入が読めない不安と戦っていました。この記事は、あの頃の自分に読ませたくて書いています。
この記事の目次
美容師のリピート率、平均はどのくらい?
まず、いま出回っている「平均」を整理します。POSレジや顧客管理の会社が公開している数字を見ると、だいたいこのあたりに落ち着いています。
| 項目 | よく言われる目安 | 僕の数字(2026年) |
|---|---|---|
| 新規のリピート率 | 全国平均 約28〜30%、理想は50% | 来店当日の次回予約率 ほぼ100% |
| 既存客のリピート率 | 全国平均 約70%、理想は90% | 95%以上 |
| 顧客と新規の割合 | (公開データほぼなし) | 98:2 |
| 翌月の予約の埋まり具合 | (公開データほぼなし) | 月末の時点で8.5〜9割。2ヶ月後も6.5〜7割 |
※目安は顧客管理サービス各社が公開している数字をまとめたものです。集計の期間や定義が会社ごとに違うので、幅があります。
平均を見て「うちも30%くらいだから普通か」と思った方に、先に言っておきたいことがあります。
新規の7割が戻ってこない状態は、穴の空いたバケツに水を注いでいるのと同じです。注いでも注いでも、底から漏れていく。それでも「集客を頑張ろう」と思ってしまうのが、あの頃の僕でした。
リピート率の出し方と、失客率との違い
一般的な計算式はこれです。
失客率は、その裏返しです。「期間内に、また来なかった人の割合」。リピート率が70%なら、失客率は30%になります。
たとえば、ある月に100人のお客様が来て、そのうち70人が90日以内にもう一度来てくれたら、リピート率は70%、失客率は30%です。新規だけで数えるなら、新規10人のうち3人が戻ってきたら30%。これが「全国平均くらい」の状態です。
ただ、正直に言うと、この式には弱点があります。お客様の来店周期がバラバラだからです。月1回の方もいれば、半年に1回の方もいます。「90日」で区切ると、半年に1回の方は全員「失客」に数えられてしまいます。
だから僕は、リピート率そのものより、先に決まる数字を見るようにしています。
僕が毎日見ている3つの数字
- 来店当日の次回予約率(今日来た方のうち、帰り際に次の予約を取った方の割合)
- 翌月の予約表の埋まり具合(月末の時点で、来月が何割入っているか)
- 顧客と新規の割合(今月来た方のうち、2回目以上の方が何割か)
リピート率は「あとから分かる数字」です。来なくなって初めて、下がったと気づく。でも次回予約率は「今日決まる数字」です。ここを見ていれば、来月のリピート率は先に見えます。
僕が使っている予約管理アプリの画面です。来店当日の次回予約率が100%。30日前と比べても100%のままです。
リピート率が上がらない、本当の理由
「技術を上げれば、リピートは増える」。僕もずっとそう思っていました。でも、そうではありませんでした。
「天ヶ瀬さんにしか任せられません!」「絶対また来ます!」そう言っていただいたのに、気づけば来なくなってしまった。そんな経験、美容師なら一度はあると思います。めっちゃつらいですよね。
美容室を変えるお客様の8〜9割は、「なんとなく」が理由です。何かが嫌だったわけではない。ただ、「絶対にここじゃなきゃいけない理由がない」。それだけなんです。
つまり、満足してもらうことと、次に来てもらうことは、別の問題です。満足はしている。でも次の予約が入っていないから、「なんとなく」他の店に行ってしまう。
「新規が足りない」と感じているとき、本当に足りないのは新規でしょうか。来てくれたお客様が残っていないから、いつまでも新規が必要になっているだけ、ということはありませんか。
新規は、広告をかけたり、ホットペッパーに課金したり、お金である程度は解決しやすい部分です。でも、リピートはお金では買えません。先にバケツの穴を塞ぐ。リピート率を上げるというのは、そういうことです。
次回予約率が2〜3%だった頃の僕
もともと、僕の次回予約率は2〜3%でした。ほぼゼロです。
お客様に「次回予約、よかったら取りませんか?」とお聞きしても、「まだわからないので」と言われて、「わかりました!」で終わる。この流れを、何百回も繰り返していました。
そもそも、聞きたくもなかったんです。押し売りしている気がして。「自分はまだ全然予約が埋まっていないから、そんなことは言えない」とも思っていました。
代わりに頑張ったのがSNSでした。かつてInstagramで28,000人のフォロワーがいて、1つの投稿で100万インプレッション、保存10,000超えという時期がありました。あの頃は、このままいけると思っていました。
でも数年経った今、フォロワーは13,000人まで減りました。SNSにはアルゴリズムの変化があるし、流行が変わるし、参入者は増え続けます。SNSを頑張れば何とかなると思って必死に投稿して、それだけでは安定しないと気づいたとき、正直、怖かったです。
フリーランスになってからは、外の仕事との両立でサロンワークの売上が落ちた時期もあります。ピークの3分の1以下まで落ちました。お店に勤めていれば教育や裏方という道もありますが、フリーランスは自分が稼げなくなったら、それで終わりです。
そこから立て直せたのは、才能でも人気でもなく、仕組みを作ったからです。次回予約の仕組みを作り始めて、少しずつお客様が積み上がっていって、初めて「大丈夫かもしれない」と思えたあの瞬間を、今でも覚えています。
やめたこと、始めたこと
「予約が埋まっているから次回予約が取れる」のではありません。順番が逆でした。次回予約の仕組みを作ったから、予約が埋まっていったんです。
仕組みと言っても、難しいことではありません。僕が変えたのは、言葉より「タイミング」でした。
やめたこと
- お会計の直前に、いきなり「次回のご予約どうしますか」と聞くこと
- 「予定がわからなくて」と言われて、「わかりました」で帰していただくこと
- 断られたあと、その場で返し方を考えること
始めたこと
- 最初のカウンセリングで、予告しておく。いきなり最後にお聞きすると営業になります。最初に「最後にまた詳しくご説明しますね」と一言添えておけば、ご提案になります
- 「仮でいいですよ」を先に出す。「予定がわからない」は断りではなく、決められないだけです。変更もキャンセルもできる、と必ず添えます
- 断り文句ごとに、返し方を先に決めておく。その場で考えていたら間に合いません。台本は3本だけです
次回予約の話は、この最初のカウンセリングで一言だけ予告しておきます。施術の1〜2時間が、お客様が考える時間になります。
大事なのは、「自分の予約を埋めたいから」ではなく、「お客様が損をしないから」という姿勢でお伝えすることです。ここがズレると、同じ言葉でも押し売りに聞こえます。
帰り際の10秒で、年9万円が決まります(この計算は次の章で書きます)。取れれば積み上がる。取れなければ消える。だから僕は、この10秒に使う言葉を、その場で考えないようにしました。
もうひとつ、仕組みの下には「土台」があります。うちのクチコミ296件を数えたら、いちばん多かった言葉は「丁寧」で68件、次が「安心」で47件でした。土台がないまま仕組みだけ入れると、それはただの押し売りになります。逆に土台さえあれば、仕組みは驚くほど素直に入ります。
土台と言っても、特別なことではありません。カラー剤を塗ってその場を離れるときに「◯分後に一度見に来て、◯分後に流します」と伝える。カットでいきなり切らずに「ここで切っても大丈夫ですか」と先に確認する。最初のカウンセリングで、所要時間とお会計の目安を伝えておく。「丁寧」と書いてくださった68件の中身は、こういう一言の積み重ねでした。
数字がどう変わったか
2〜3%から100%まで、時間はかかりました。90日で100%になる、とは言いません。でも、変わった順番ははっきりしています。
| 時期 | 帰り際 | 次回予約率 | 来月の予約表 |
|---|---|---|---|
| デビュー当初 | 最後に聞いて、「わかりました」で終わる | 2〜3% | 月初にゼロから |
| 仕組みを作り始めた頃 | 最初に予告して、「仮でいいですよ」 | 少しずつ上がる | 名前が先に入り始める |
| 今 | 断り文句ごとの返し方が決まっている | ほぼ100% | 月末に8.5〜9割。2ヶ月後も6.5〜7割 |
今の僕は、当月の時点で翌月の予約が8.5〜9割埋まっています。2ヶ月後ですら6.5〜7割がすでに入っています。来月・再来月の売上がほぼ見えている状態で、毎日を過ごせています。
以前は予約が入っていない日をなるべく空けて、少しでも売上を上げようと必死でした。でも今は、次回予約のおかげでお客様を1日にまとめさせていただいて、休みをしっかり確保できています。完全週休3日で、売上は上がり続けています。
1回の単価より、何年通ってくれるか
リピート率の話をすると、「値引きして次を取るんですか?」と聞かれます。僕は値引きはしていません。変えたのは、見る期間です。
たとえば、2ヶ月に1回のペースで通ってくださる方なら、年間で6回。1回15,000円の施術なら、年9万円です。それが1人分。
その方が次回予約を取り続けてくださることで、9万円分の売上が確実に積み上がります。逆に、次回予約が取れず、なんとなく他の美容室に行ってしまったら、その9万円ごと失うことになります。
そして、新規が月に1人しか来なかったとしても、全員が次回予約を取ってくださるなら、顧客は毎月積み上がっていきます。いつか必ず満席になります。
読んだ美容師さんに起きたこと
この仕組みをnoteにまとめたところ、読んでくださった美容師の方から、こんな連絡をいただきました(掲載の許可をいただいています)。
僕がいちばん伝えたかったのは、実はここです。次回予約は、売上のためだけの話じゃありません。来月の予定が見えていると、気持ちが楽になります。新規を毎月ゼロから探す不安が、静かに消えていきます。
僕の実績は、僕にしか当てはまらないかもしれません。でも、読んだ方が同じことをやって、同じことが起きました。再現できるものだと思っています。
帰り際の台本3本、無料でお渡しします
①カウンセリングでの予告 ②「予定がわからなくて」と言われたとき ③キャンセル・変更の連絡が来たとき。この3本を、明日そのまま使える言葉にしてあります。
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天ヶ瀬哲平。表参道・NEHAN所属の美容師。美容師歴9年目、年間1,000人以上を担当。次回予約率2〜3%から100%へ。リピート率95%以上、完全週休3日。土台の作り方、特典の設計、断られたときの返し方、2%から100%までの全記録はnoteに書いています。
よくある質問
※本記事の数字は、僕自身のサロンワークの実測と、顧客管理サービス各社が公開している目安をもとにしています。お店の形態や来店周期によって最適な設計は変わります。
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