朝時間をかけて巻いたのに、お昼には落ちている。夕方には完全にストレートに戻っている——そんな経験を繰り返していませんか。
「巻き方が下手なのかな」と思いがちですが、原因のほとんどは髪質とやり方にあります。この記事では、巻きが取れるメカニズムから今日から使えるコツまで、美容師目線で正直に解説します。
先に結論
巻きが取れる主な原因は「髪の水分・湿気・熱の通り方」の3つです。
特に猫っ毛・細毛・柔らかい髪質の方は構造的に巻きが持ちにくい。やり方を変えるだけで改善できる部分と、道具を変えた方が早い部分があります。
僕は表参道のサロン「NEHAN」で年間1,000人以上の髪を担当する現役美容師です。巻きの持ちについての相談は毎日のように受けます。
目次
そもそも巻きはなぜ取れるのか|原理を知ると対策が変わる
髪は「水素結合」という仕組みで形を作っています。アイロンやコテで熱を加えると一時的にこの結合が解け、冷える際に新しい形で固定されます。これが巻き髪やストレートになる仕組みです。
問題は、水素結合は水分に非常に弱いという点です。外の湿気・汗・雨——水分が髪に入ると、せっかく固定した形が元に戻ろうとします。これが「朝きれいに巻いたのに夕方には落ちている」の正体です。
巻きが取れる3つの原因
湿気・水分——外からの湿気や汗が髪に入り、水素結合を崩す
熱が中まで届いていない——毛束が厚すぎて表面だけに熱が通り、内側は形がついていない
髪質——細い・柔らかい髪は形状記憶力が低く、もともと持ちにくい
この3つを把握した上で対策すると、コツが全部つながって見えてきます。
髪質による違い|猫っ毛が特に持ちにくい理由
サロンで「巻きがすぐ落ちる」という相談を受ける方の多くが、猫っ毛・細毛・柔らかい髪質の方です。ダメージ毛よりも、むしろ健康的だけど細い髪の方の方が悩みが多い印象です。
理由はシンプルで、髪が細いほど1本あたりの形状記憶力が弱いからです。太い髪は繊維の量が多く、形が固定されやすい。細い髪は繊維が少なく、少しの力で元の形に戻ろうとします。
| 髪質 | 巻きの持ちやすさ | 対策のポイント |
|---|---|---|
| 猫っ毛・細毛・柔らかい | 持ちにくい | 細かく巻く・温度は高め |
| 普通の髪質 | 普通 | 基本のコツを守る |
| 太い・硬い・くせ毛 | 比較的持ちやすい | ブロッキングが特に重要 |
猫っ毛の方は「私が下手なのかな」と感じやすいですが、構造上持ちにくいのは事実です。やり方を工夫することで改善できますが、限界もあるのが正直なところです。
ブロッキングが大事な本当の理由|ステーキの法則
「ブロッキングしながら巻く」とよく言われますが、なぜ大事なのかを理解している方は少ないです。
ステーキで考えてみてください。分厚いステーキを焼くとき、中まで均一に火を通すのはかなり時間がかかりますよね。表面は焼けても中はまだ生、ということが起きやすい。
髪も同じです。毛束が厚いと、表面の髪には熱が通っても内側の髪には十分な熱が届かない。表面だけ巻けても内側は形がついていない——これが「巻いたのにすぐ落ちる」の大きな原因のひとつです。
「時間がないからたくさんまとめて巻く」は逆効果になりやすいのは、このためです。
巻きを長持ちさせる4つのコツ
① 完全に乾いた状態で巻く
「乾いているつもり」でも根元が湿っていることがよくあります。湿った状態で巻くと水分が熱で蒸発する際にキューティクルが開き、形がつきにくいうえにダメージも大きい。巻く前は根元から毛先まで完全に乾かすことが前提です。
② 巻いた後すぐ触らず、冷めるまで待つ
巻きは「熱が冷める瞬間に形が固定される」仕組みです。熱いうちに触ったりほぐしたりすると、まだ固定されていない状態で形が崩れます。巻いた束は手のひらで受けて、完全に冷めてからほぐすのが正しい順番です。
③ スタイリングオイルで外の湿気をガードする
巻き終わった後にオイルを薄くつけると、髪の表面に膜を作って外からの湿気の侵入を防げます。水素結合が崩れにくくなるので、同じ巻き方でも持ちが全然違います。ただし巻く前のつけすぎはNGで、熱の伝わりが悪くなります。タイミングは巻いた後に。
④ 髪の内側から水分を整えておく
美容室でやるトリートメントは、髪の内部に水分を補給して整えるものです。内側の水分バランスが整っていると、外から湿気が入ってきても影響を受けにくくなります。「巻きがすぐ落ちる」という方にトリートメントをすすめることが多いのは、これが理由です。日常でも洗い流さないトリートメントを継続することで変わってきます。
それでも持ちが悪い方へ|道具も見直してみてください
ここまで紹介したコツを試しても改善しない場合、アイロンやコテ自体を見直すことで大きく変わることがあります。
巻きの持ちに関係するアイロン・コテの性能は、大きく3つです。
長いほど一度にたくさんの髪を均一に巻ける。ステーキの法則でいう「均一に熱を通す」ために重要。
しっかり掴めるほど内側まで熱が通りやすい。パワーの弱いコテは表面だけ熱が入って持ちが悪くなりやすい。
髪の水分を守る素材ほど、アイロン後に外の湿気に負けにくい状態になる。ここが持ちに直結する。
この3つがそろっているコテを使うと、ブロッキングを細かくとらなくても中まで熱が通りやすく、仕上がりの持ちが変わります。猫っ毛・細毛の方でも「今まで持たなかったのに」という感想をいただくことがあります。
道具の見直しを検討している方は、こちらも参考にしてみてください。
▶︎ 絹女プロのコテとリファ、どっちがいい?美容師が正直に比較した結論
▶︎ 絹女サファイアと絹女プロ、結局どっちを選ぶべき?美容師が正直に比較
まとめ
巻きが取れる原因と対策
原因① 湿気・水分が水素結合を崩す → オイルで外からガード・トリートメントで内側を整える
原因② 熱が中まで届いていない → ブロッキングを細かくとる
原因③ 猫っ毛・細毛は構造上持ちにくい → やり方+道具の両方で対策する
コツ① 完全に乾かしてから巻く
コツ② 巻いた後は冷めるまで触らない
コツ③ 巻いた後にオイルをつける
コツ④ トリートメントで髪内部の水分を整える
表参道美容師 天ヶ瀬哲平
「巻きが持たないのは自分のせい」と思っている方が本当に多いのですが、原因の大部分は髪質とやり方にあります。正しく理解して対策すれば、同じ髪でも持ちは変わります。
髪が変われば人生も変わる。貴女のこれからが一歩でも前に進みますように。
天ヶ瀬 哲平
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